■『痕跡本のすすめ』古沢和宏著。2012年初版カバー帯。株式会社
太田出版発行。

■現役古書肆「五つ葉文庫」店主に依る 所謂る【瑕疵有り本】の奥義が
多岐に亘り縷々開陳されます。普通の古書よりは価値有り として居ます。
先ず著者の序文と目次で梗概を掴んで下さい。

■因みに出品者の【古書蒐集歴】も既に半世紀を優に超え、色々な古書
を買い漁る内に、該書に口吻する瑕疵痕跡と遭遇して来ました。
内訳は旧蔵者に依る赤/青鉛筆や黒Penの傍線・批判跋文や読後感の容赦
無い書き込み・「大事なのは此処丈だ！」「恁んな記載は赦せん！」と
の思惑が有ってか頁の破れ箇所を皮切りに、唾液の捲り跡・毛髪・鼻屎
・珈琲等の滲み・煙草の焦げ痕・恣意的に射精でもしたのか精液に依る
毀損等が複合して在りましたね。最後はEngatyoの部類ですが…。(笑)

■特異な処では、封筒内便箋に「芥川賞」でも取れるんじゃないかと思
われる程の傑作恋文の挿入・跋文墨書した後に血判の押捺 (怖！)・何か
の領収書又は借用書・外国切手が貼付の Air Mail・彼氏彼女の写真？・
犬猫の写真・七夕みたいに文言を書いた数々の付箋貼付・Edelweissの
押し花・個人情報バレバレの折畳んだ交通反則切符の青紙・新刊書店の
綺麗なIllustrationの栞 (例えば神田神保町書泉等の)・薄い着物の共布・
外れた宝籤・昔のPlastic Model零戦の組立図・明治大正昭和初期の葉書
類・Islam圏の外国紙幣・爪楊枝、思い出したらまだまだ書けそうです。

■一番の珍事は何を隠そう遙か昔、町の古本屋の外台100円均一本の中
に児童書の『千夜一夜物語』が有りまして、挿画の懐かしさの余り頁を
捲ってましたら、何と黴臭い「聖徳太子の壱万円札が５枚」も挟んで有
りましたので吃驚。併し欣喜雀躍。私が爾後どうしたかは是を読んだ人
の想像にお任せ致します。扨、該書の状態ですが、↓↓↓

●紙質経年劣化を感じさせない状態です。瑕疵有りません。
●全160頁。書き込み有りません。
●古書に不慣れな方、殊更神経過敏な方には不向きです。回避為さる
のが賢明かと思われます。爾後のClaimは御容赦下さい。
●取引に際しては私の自己紹介欄をお読み下さい。

■私が現在出品してる図書の中にも瑕疵有る痕跡本が幾つか在りますが、
其れこそ古書に不慣れな方、殊更神経過敏な方にはSanctuary【禁漁区】
とした方が宜しいかも知れません。後者の人には図書館の本も触れない
のではないかと…。